ほんの寄り道、おきてのみやげ

法令の素顔をゆるりと愉しむブログです

【第6回】んっ、衆法、参法、閣法? 

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 法令の素顔をゆるりと愉しむブログ、
「おきてのみやげ」の夜間不定期便をお届けいたします。
 ナビゲーターを務めます、テラボ(terrabo)です。

 あわただしい学舎から戻り、
暮れ時の倦怠感をシャワーで流してから…
 今宵は、「衆法・参法・閣法」のトピックで、
リラックスしましょう。

1 どのような視点からの分類か

  一見して、タイトルの「衆法」、「参法」及び「閣法
という、文字通りの言葉がピント来ないとすれば、
それは、中分類だからかも知れません。

 いうまでもなく、憲法では、
「国の唯一の立法機関である。」(第41条)と定められ、
法律案は国会で審議されて、両議院で可決すれば、
法律として成立します。

 しかし、その法律案が、誰によって、企画・立案され、
国会へ提出されるかは…別問題ですよね。

 それでは、さっそく立法過程の旅に出かけましょう。 

2 立法過程上の分類 

 実は、国会で審議される法律案は、大別して、
「国会議員が国会に提出(発議)する場合」と
「内閣が国会に提出する場合」
の2つがあります。

 一般的に、
前者のケースを、「議員立法
後者のケースを、「政府立法内閣立法)」
と言います。
 これが、立法過程の大分類ですね。

 そして、国会議員には、衆議院議員参議院議員がいるので、
議院議員が発議(提出)する律案」を「衆法」、
議院議員が発議(提出)する律案」を「参法」、
「内が提出する律案(内閣提出法律案)」を「閣法
と呼びます。

 これが、立法過程の中分類です。

 なお、各委員会(調査会)も法律案を提出することができますし、
その場合、委員長(調査会長)をもって提出者となります。

 各委員会(調査会)が提出する法律案は、おおむね、
各会派が賛成し、成立しやすいと考えられます。 

 いったん立法の流れや仕組みが分かると、
「衆法」、「参法」及び「閣法」って、
字面どおりの業界用語なので、一目瞭然ですね。

 法律に係る立法過程を記述する際には、
「衆法(○○委員長)として、」
「閣法として、」
などと、文中に盛り込めば足ります。 

3 使ってなんぼのブログです

  それでは、間髪置かずに使ってみましょう。
ここで、【第4回】で習得した「施行」などを加えますと、
ほどほど面倒っちいので、「立法過程」のみを付け足して、
題名が改正されるようなハイライトシーンを描いてみましょう。

 既に、【Exercise1】と【Exercise2】で取り上げました、
障害者保健福祉施策に係る法律を主な題材にします。
 ご都合主義と言われようが、気にしない、気にしない… 

(1)障害者総合支援法 

 始まりは、平成17年10月31日、閣法として、
障害者自立支援法」(平成17年法律第123号
が成立しました。
   ⇓ 
 その後、平成24年6月20日、閣法として、
地域社会における共生の実現に向けて
 新たな障害保健福祉施策を講ずるための
 関係法律の整備に関する法律
 (平成24年法律第51号
が成立し、同法第1条により、
障害者自立支援法の一部改正
が行われ、題名が、
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援
 するための法律」(平成17年法律第123号)
となりました。 

(2)身障者福祉法 

  昭和24年12月3日、衆法として、
身体障害者福祉法」(昭和24年法律第283号
が成立しました。 

(3)精神保健福祉法

  昭和25年4月15日、参法として、
精神衛生法」(昭和25年法律第123号
が成立しました。
   ⇓ 
 その後、昭和62年9月18日、閣法として、
精神衛生法等の一部を改正する法律
 (昭和62年法律第98号
が成立し、同法第1条により、題名が、
精神保健法」(昭和25年法律第123号)
となりました。
   ⇓
 さらに、平成7年5月12日、閣法として、
精神保健法の一部を改正する法律
 (平成7年法律第94号
が成立し、題名が、
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」 
 (昭和25年法律第123号)
となりました。 

(4)知福法 

 昭和35年3月31日、閣法として、
精神薄弱者福祉法」(昭和35年法律第37号
が成立しました。
   ⇓
 その後、平成10年9月18日、
参法国民福祉委員長)として、
精神薄弱の用語の整理のための
 関係法律の一部を改正する法律
 (平成10年法律第110号
が成立し、同法第6条により、
精神薄弱者福祉法の一部改正
が行われ、題名が、
知的障害者福祉法」(昭和35年法律第37号)
となりました。 

4 業界用語は手っ取り早い

  以上のように、それぞれの立法過程を見比べると、
・ 閣法のみにより、誕生し(制定され)、成長す(改正され)る
 という、モノトーンな法律もあれば、
・ 衆法(又は参法)として誕生し、閣法として成長するような、
 つづら折りの法律もあります。

 業界用語を付け加えるだけで、
それぞれの法律の成り(生い)立ちを、
履歴書に目を通すように伺い知ることができます。
 なんと便利なことでしょう!(ビフォーアフター風)

 一手駒を進めたところで、今宵は、これでおしまいです。
 それではまた、近いうちにお会いしましょう。